「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態で労働者を派遣していたとして、大阪労働局は、業務請負大手「クリスタル」グループの「コラボレート」(本社・大阪市北区)に対し、週明けにも、労働者派遣法に基づき事業停止命令を出す方向で最終的な検討に入った。偽装請負を理由に事業停止を命じた場合、全国で初めてとなる。
偽装請負は、製造現場を中心に広がっており、厚生労働省は、請負業者や、労働者を受け入れる事業者への監督を強化し、悪質な業者には積極的に行政処分するよう全国の労働局に指示している。
関係者によると、コラボ社は、事業者から業務を請け負い、自社の責任で運営、その職場で働く自社の従業員を管理、指揮しているとしていたが、大阪労働局は立ち入り調査の結果、従業員を指揮しているのは事業者側で、実際にはコラボ社から事業者への人材派遣にあたり、労働者派遣法違反の偽装請負と判断した。
関係者は「警備関係の仕事で偽装請負が行われていた」と証言している。
警備業の場合、労働者派遣法で人材派遣が禁止されている。工事現場など、人命に密接にかかわる仕事のため「警備業者自身が請負先での仕事に責任を持たねばならない」とされている。
コラボ社はこれまでにも、偽装請負を繰り返し、同労働局から行政指導を受けていたとされ、同労働局は「十分な改善が見られず、極めて悪質」として、厳しい行政処分が必要と判断した模様だ。
同労働局は、コラボ社と請負契約を結んだ事業者に対しても行政指導しているが、事業者側は同法の許可業者ではないため、行政処分の対象とはならない。
コラボ社は読売新聞の取材に対し「警備業は行っておらず、お答えできません」としている。
民間信用調査機関によると、コラボ社は1986年8月設立のクリスタル100%出資子会社。全国に約100の支店と事業所がある。従業員約1600人、登録契約社員約4万5000人(06年4月現在)。昨年度の売上高は約1400億円。
クリスタルは京都市に本社があり、グループ約70社とされる。