3月1日に公開された、藤田まこと主演の映画「明日への遺言」を観てきた。この映画は大岡昇平が著した「ながい旅」を映画化したものだ。
この映画は、大東亜戦争末期、中京地区を無差別爆撃したB29の搭乗員を処刑した罪に問われ、B級戦犯として絞首刑となった岡田資中将(藤田まこと)の「法戦」を描いている。
まずスクリーンに現れるのは「ロンドン空襲」「ベルリン空襲」「重慶空襲」「広島・長崎の原爆」「東京大空襲」などの一般市民の殺戮を目的とした無差別爆撃。軍事施設以外の爆撃は国際法で禁止されているが守られてはいない。映画の90%は法廷でのやり取り。岡田中将は米軍の無差別爆撃の非を訴え、米軍搭乗員を処刑した部下を助けるために責任を一人で負い、法戦を戦い抜く。傍聴席には妻、息子などの家族が法廷を見守る。そして死刑判決が下り「すべての責任は私にある」「本望である」との言葉を残して死刑台に上っていく。
A級戦犯(平和に対する罪)を裁いた極東国際軍事裁判。シンガポールやマニラなど世界49か所で裁いたB級(通常の戦争犯罪)、C級(人道に対する罪)裁判。これらの裁判で1000人以上が死刑判決を受けたとされている。
これら戦争犯罪人を裁いた軍事裁判は、勝者が敗者を裁いた不公正な裁判と言わざるを得ない。もし公正であるとするならば、原爆投下や東京大空襲等の無差別爆撃を行った者も戦争犯罪人として裁かれなければならないが、裁かれた形跡はない。
戦争経験者が減り、戦争の記憶が薄れていく今、日本人ならぜひ見ておきたい映画だと私は思う。
]]>遺失物法の改正によって12月10日より、警察に届けられた拾得物の保管期間が「6か月」から「3か月」に短縮される。倉庫を対象に国土交通省が作成した標準トランクルームサービス約款は今年10月、寄託者に対する寄託物の引取りの催告から処分が可能になるまでの期間を「1年」から「3か月」に短縮した。
保管期間の短縮と処分の迅速化は、時代の流れといえるだろう。残置物の保管期間を「6か月」等と賃貸借契約書に明記している場合、保管期間を「3か月」に改めることを検討してもよさそうだ。
<改正遺失物法の概要>
・警察に拾得物が届けられた場合の保管期間を「6か月」から「3か月」 に短縮する。
・拾得物の情報をインターネット(各都道府県警のページ)で公表する。
・携帯電話やカード類など、個人情報が入った落とし物は、保管期間内に落とし主が見つからなかった場合でも、所有権が拾得者に移らない。
・傘、衣類、履き物、自転車、および保管に不相当な費用または手数を要するとして政令で定めるものは、2週間以内に落とし主が見つからない場合に売却等の処分ができる。
・公共交通機関の施設など大量の遺失物を取り扱う事業者は、公安委員会から指定を受ければ、その施設における拾得物を自ら管理できる。
参考:改正遺失物法の概要(チラシ)
http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki2/summary1.pdf
参考:改正遺失物法の概要(パンフレット)
http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki2/summary2.pdf
参考:改正された標準トランクルームサービス約款
]]>◆様々な履歴を一元管理
厚生労働省は、社会保障の履歴を一元管理する「社会保障カード」の導入を議論する有識者検討会の初会合を開き、年金・医療・介護・雇用の4つの制度の被保険者証を1枚のICカードに統一することで合意しました。将来は健康診断の結果などの医療情報も閲覧できるようにすることでも合意しています。この社会保障カードは、2011年度をメドに導入される予定です。
◆年金・医療・介護・雇用の4分野
これまで、社会保障カードでどの制度の情報を一元管理するかがあいまいでした。会合では、まず年金・医療・介護・雇用の4分野を管理対象にする方針を確認しました。
社会保障カードは原則国民1人に1枚発行し、年金手帳や健康保険証、介護保険証などの役割を兼ねます。これまで何種類もの証書が必要だったところ、1枚のICカードを持ち運ぶだけでよくなりますから、便利になります。また、パソコンで年金の加入履歴などを確認できるようになるため、公的年金の納付記録漏れなどの不祥事が起きても、加入者が自ら発見できるようになります。
また、将来はICカードで自分の医療情報を見られるようにするなど、柔軟な制度設計にすることとなっています。
◆今後の焦点は?
今後の焦点は、4つの社会保障制度が個人にそれぞれ割り当てている番号の統一の問題です。基礎年金番号や住民票コードを使う案、新しい番号で統一する案が浮上していますが、会合では意見がまとまりませんでした。番号を統一せず、1枚のICカードに4つの個人番号を併記する案も出ています。
また、雇用保険が被保険者資格の管理に氏名・生年月日・性別を使っているのに対し、年金ではこれに住所も加えるなど、制度によって必要な管理情報が異なっています。これをどう統一するかも課題となります。
さらに、セキュリティー面の問題もあります。情報管理が甘いと、膨大な情報が一気に流出する危険があります。この点については、内閣官房情報セキュリティーセンターと協力し、セキュリティーを強化するとのことです。
]]>企業年金の未払いも明らかに
◆企業年金にも多くの未払い
国民年金や厚生年金の記録漏れ問題の全容解明も途中だというのに、今度は企業年金の未払いが明らかになりました。転職などによって厚生年金基金を脱退した人の年金資産を引き継いでいる企業年金連合会が、124万人に年金を支給していないことを発表したもので、未支給額は累計1544億円になるといいます。
◆加入者を軽んじた企業年金連合の未払い
企業の厚生年金基金が解散したり、転職して短期間で加入資格を失ったりしたとき、加入者の年金資産は企業年金連合会に移ります。企業年金連合会は、こうした人の資産をまとめて運用し、各人の加入期間に応じて年金給付しています。現在は、2,400万人の年金記録を管理し、276万人に年金給付を行っています。
年金が未払いになっている124万人という数は、この約半数に達します。企業年金連合会は、未支給者がこれだけいる理由について、その大半は支給開始年齢に達したときに支給開始の手続きをとることができないためだと説明しています。
◆申請主義に限界?
年金を受け取るには、本人が企業年金連合会に請求手続をする必要があります。「申請主義」を補うため、請求手続をとるように加入者が60歳になる直前に通知する仕組みが導入されています。しかし、住所を追跡把握していないため、特に若いころに厚生年金基金を脱退した人には手続きが必要なことを知らせるのが難しいのが現状です。こうした人の多くについては、請求手続が行われないため、年金の支給も開始されません。
未受給者の中には、自らの意思で権利を放棄したわけではなく、申請手続の必要性を知らなかったために未受給となっている人も数多く含まれる見通しです。
◆今後の対策は?
企業年金連合会はフリーダイヤル(電話:0120-458-865)を開設し、100人体制で相談に応じることにしています。また、社会保険庁に対して加入者の住所情報の提供を求め、来春以降、企業年金の中途脱退者などに定期的に年金記録を通知することにしています。
企業年金連合会には13兆円の積立金があり、仮に未支給の1,544億円の全額を支払っても、財政への悪影響は限定的です。
企業年金連合会はこれまで豊富な運用資産をバックにガバナンスの改革を迫ってきました。日本最大の「モノ言う株主」ですが、顧客に当たる加入者情報の管理強化など、自らのガバナンス見直しも迫られそうです。
]]>◆将来受け取る年金額が少なくなる
会社が社会保険の加入手続をしていないことがあります。労働者がそのことを知らないでいると、その期間は保険料を納めていないことになりますから、退職後に受け取る年金も少なくなってしまいます。
こういった場合、加入手続をとらなかった会社に対して、損害賠償を請求できるのでしょうか。
◆「社会保険」とは
健康保険と厚生年金保険を合わせて「社会保険」と呼びます。健康保険法と厚生年金保険法の「適用事業所」に該当する会社の事業主は、雇用者のために社会保険の加入手続を行うことが義務付けられています。
社会保険料は労働者と会社が折半で支払うため、労働者にとって加入のメリットは大きいものです。一方、経営状態が苦しい会社には大きな負担となります。そのため、保険料の支払いを免れようと、加入手続をとらない会社があるのです。しかし、社会保険庁に対して労働者の「被保険者資格取得」の届出をしなかったり、ウソの届出をしたりした会社は、健康保険法と厚生年金保険法の罰則対象になります。
◆損害の立証が難しいことも
では、未加入によって、会社側は民事上の賠償義務を負うのでしょうか。事業主が届出を怠ることは、労働者の法益を直接に侵害する違法なもので、労働契約上の不履行とされる場合もありえます。
ただ、若い労働者の場合、提訴時点では年金受給資格を得られるまで働き続けるかわからず、損害立証が難しくなります。退職して年金を受給している場合は、受けられたはずの年金額の計算ができ、損害額算定が比較的容易です。
◆自ら確認を
「確認しなかった労働者の過失」とされないように、加入手続がとられているかどうか確認することが大切です。社会保険事務所に問い合わせれば、「誰が」「いつから」社会保険の被保険者として届けられているか確認することができます。
また、「年齢制限がある」等の虚偽の説明をして、「社会保険への加入資格がない」と言う会社もあります。おかしいと感じたら社会保険事務所や社会保険労務士に相談することが大切です。
]]>◆医療制度改革の一環
2008年4月から、医療制度改革の一環として、「高額医療・高額介護合算制度」が新たに導入される予定です。これは、医療保険と介護保険の両方を利用する世帯の自己負担が重くなり過ぎないよう、合計額に上限を設けるものです。
◆利用者の負担を軽減
「高額医療・高額介護合算制度」は、国民健康保険・健保組合といった健康保険ごとに、加入者本人と扶養家族の医療と介護サービスの利用額を合計し、一定の負担限度額を超えた分を払い戻す仕組みです。
現在は医療と介護、それぞれで限度額を定めています。このため、例えば同じ世帯に手厚い介護が必要な高齢者と病気などで長期入院する患者がいるような場合、自己負担の合計額が膨らんで負担が過度に重くなることがありました。新制度では医療と介護を合算した負担上限額を設けるため、患者負担額は軽減されます。
負担限度額は、年齢や所得に応じて7段階で設定されており、所得が少ないほど、高齢になるほど、負担が軽くなるように設定されています。75歳以上の人がいる一般所得世帯の年56万円を基本として、年19万円から年126万円まで分けられています。
例えば75歳以上の一般所得者の場合、現在は医療・介護を合わせると最大で年98万円の負担になる可能性がありましたので、新制度の導入後はこの6割程度の負担で済むことになります。
◆保険料引上げにつながる可能性も
利用者の負担が減る一方、高齢化で該当者が急増すると財政負担が増す可能性もあります。
新制度によって高齢者世帯などの負担が減る分は国民健康保険や健保組合などの各健康保険や介護保険の財源から追加で拠出することになりますが、厚生労働省は当面はいまの財源で吸収できる規模とみています。
ただ、日本では高齢化が加速しており、医療や介護にかかる費用はこれからも増えるのが確実です。政府は医療コストの削減や要介護者の減少などをにらんだ取組みを進めていますが、新制度の該当者が増えれば、中長期的には医療や介護の保険料の引上げにつながる可能性もあります。
]]>◆研究の成果を論文に
メーカー会社勤務の研究職。研究成果が製品にならず気をもんでいたところ、出版社から「成果を論文にして発表しないか」と持ちかけられました。会社を辞めてでも発表したいのですが、会社に無断で大丈夫でしょうか。
◆懲戒や賠償請求のおそれ
研究開発を行う企業は、通常、「実験データなどを会社の事前了解なしに第三者に開示してはならない」などと、就業規則や入社時の誓約書で研究やノウハウの公表を禁じています。「会社に不利な行為はしない」という包括的な懲戒事由は、ほとんどの企業が規則に盛り込んでいます。
会社に無断で研究を公表したり第三者に漏らしたりすれば、就業規則違反で解雇も含む懲戒処分の対象となり得ます。会社を辞めてからの公表であっても、研究の公表に伴う会社の逸失利益について、賠償を求められるおそれがあります。
◆不正競争防止法の営業秘密に当たる可能性も
研究内容の社内での取扱い次第では、不正競争防止法(不競法)上の「営業秘密」に当たる可能性もあります。経済産業省によると、研究データなどが同法の営業秘密となるのは、1.データにマル秘マークを付すなど秘密として管理している、2.企業に役立つ、3.一般に知られていない、といった条件をすべて満たす場合とされています。製品開発などに絡み、社員が業務として取り組んできた研究であれば、通常は営業秘密に該当すると考えられます。その技術を生かした製品の独占販売ができなくなるなど、会社が損害を受けるとわかっているのに研究内容を明かせば、不競法違反に問われかねません。
不競法に違反すると損害賠償と差止請求の対象となるほか、5年以下の懲役、500万円以下の罰金が科せられる可能性があります。同法は損害賠償額算定方法を明示しており、研究内容が営業秘密であれば、そうでない場合より会社側は賠償を求めやすいとされています。
◆ポイントは?
1.無断公表は懲戒処分相当、会社から賠償請求の恐れもある
2.内容が営業秘密に該当すれば刑事罰の可能性もある
◆復職者向けプログラムの活用
育児休業中の30歳代女性社員。1年半ぶりに職場復帰しますが、会社にインターネットを通じた復職者向け教育プログラムがあることを知りました。ブランクを埋めるため利用したいと思っていますが、取り組む時間は労働時間として賃金は支払われるのでしょうか。
◆任意による取組みが前提、労働に当たらず
育児・介護休業法で定められている育児休業は、原則、子の出生した日から1歳になる誕生日の前日まで取得できます。2005年施行の法改正で、保育所に入所を希望しながら入れない場合などには子が1歳6カ月に達するまで休業できるようになり、子育てに専念できる時間が長くなりました。半面、職場を長期間離れていたことで、復帰を前に不安に思う女性も少なくありません。
こうした中、スムーズな復帰を目指し、ネットを通じて自宅で新しいパソコンソフトの使い方や英会話、経理知識などを学ぶことのできる「eラーニング」のプログラムを提供する企業も出てきています。プログラムの中には、復帰する職場の同僚や上司のほか、同じ休職者とブログを使ってやりとりできる機能があるものもあります。こうしたプログラムに取り組むことは、労働者側にも有効です。
ただ、「eラーニング」に取り組む時間は、労働時間と認められるのは難しいようです。一見、在宅勤務のように見えますが、あくまで休業中ですから、会社が提供したプログラムであっても、労働者側の任意による取組みが前提とされるためです。
◆プログラムの提供は可、不利益な取扱いは不可
円滑な職場復帰は会社側にもメリットがあるだけに、積極的に活用したいという企業もあります。しかし、厚生労働省職業家庭両立課は、「育児休業法は会社側に、必要な措置を講ずる努力義務を課していますが、労働者側に職場復帰用のプログラムを強制して実施させることはできない」と指摘しています。また、手続上は任意としながら、受講しない女性に職場復帰後に不利益な人事上の取扱いを行うことも、「育児休業法の趣旨に反するものとして許されない」(同課)と注意喚起しています。
◆ポイントは?
1.受講の強制はできないが、プログラムの提供は可
2.受講しない労働者への不利益な取扱いは不可
]]>◆バイト時給、48カ月連続で対前年増加率プラス
8月期における164職種のアルバイト平均時給が976円(前月974円、前年同月956円)で、前月に比べ2円増となりました。人材総合サービスを行っている株式会社インテリジェンス(本社:東京都千代田区丸の内)が、運営する仕事情報誌「an」に掲載された求人広告から平均時給を分析して明らかにしたものです。
対前年増加率は、2003年9月から48カ月連続でプラスとなっています。
景気は回復傾向にありますが、企業では、人手不足の解消に際し、正規労働者よりもアルバイト・パートの採用を行うことが多いようです。そのため、各社の採用意欲は高い状態にあり、今後もアルバイト・パートの平均時給は高い水準で推移すると考えられています。
◆サービス残業の是正指導が過去最多
厚生労働省によると、サービス残業で労働基準監督署から是正指導を受け、2006年度に未払い残業代を100万円以上支払った企業が、前年度比約1割増しの1,679社にのぼることがわかりました。これは、調査開始以降、過去最多となります。未払い残業代の総額は約227億1,400万円で、前年度より約5億8,000万円減っています。
労働時間の管理がずさんな企業が、依然として多くみられるようです。正規労働者の数は削減傾向にありますが、景気回復で仕事は増える一方。これでは、残業代くらいはきっちり払ってもらわないと割が合わないと考える人が増えているということでしょうか。
指導企業数の増加について、厚生労働省では、労働者の中で残業代はきっちりと支払ってもらうという権利意識が向上し、監督署に申立てをする人が増えたのも原因の1つであるとみています。
]]>◆国民年金保険料の納付状況
社会保険庁は、2006年度の国民年金保険料の年齢層別の実質納付率を明らかにしました。これは、納付を免除されている失業者や、納付猶予を受けている学生も分母に加えて算出した納付率です。これまでは免除・猶予者を分母から除外して納付率を算出してきましたが、「実態を反映していない」という指摘を受け、初めて実質納付率が算出されました。
社会保険庁の発表によると、全年齢層平均の納付率は49%。年齢層が下がるにつれて納付率は低くなり、40-44歳から下の年齢層はすべて50%を割り込んでいます。
国民年金加入者の2人に1人が保険料を納めていない計算となり、国民年金の空洞化が一段と進んでいる実態が浮かび上がっています。特に、20-24歳の層では26.9%、25-29歳の層では40.4%と、若くなるほど未納が深刻です。
未納分については将来年金が給付されませんから、未納が与える年金財政への影響は少ないものと見込まれますが、今後、無年金で生活保護に頼る人が増えることが懸念されます。
なお、社会保険庁が従来公表してきた公式納付率では、平均が66.3%、最も低い20-24歳の層でも56.2%となっていました。
◆国民年金基金加入の見直し
ところで、国民年金に上乗せして厚生年金に加入しているサラリーマンなどの給与所得者と、国民年金だけにしか加入していない第1号被保険者とでは、将来受け取る年金額に大きな差が生じます。この年金額の差を解消するための上乗せ制度として、第1号被保険者が加入できる「国民年金基金」があります。
厚生労働大臣は、この基金の加入資格を見直し、60~64歳で国民年金に任意加入している人も基金に入ることができるよう検討することを表明しました。実現すれば、満60歳時点で保険料納付期間が40年に足りず、給付を増やすために国民年金に任意加入している60~64歳の約25万人が、基金への加入を認められることになります。併せて、掛け金の最低額の引下げも検討されます。現在、20歳男性で月額9,000円となっている掛け金ですが、6,000円程度まで引き下げられる見込みです。
国民年金基金制度の加入者数は、国民年金加入者の3.3%にとどまっています。今回の見直しは、利用しやすい仕組みにして基金の加入者数を増やし、国民年金の受給者が受け取ることのできる年金水準をかさ上げすることをねらいとしています。
]]>◆職場意識改善の取組みに助成
働き盛りの30代の過労死が社会問題になっています。この問題に関連し、厚生労働省では、平成20年度から「職場意識改善助成金」を新設する方針を固めました。これまでにも施設設備や制度導入に関しての助成金はありましたが、職場意識改善の取組みが助成の対象となるのは、これが初めてとなります。
◆「職場意識改善助成金」とは?
厚生労働省では、平成20年度の重点施策として、「ワーク・ライフ・バランス」の実現を掲げています。仕事と生活の両立が可能となるよう、企業の取組みに対する支援と社会的気運の醸成に力を入れる方針です。
今回の職場意識改善助成金の新設もその一環です。労働時間を減らしたり、有給休暇の取得促進を行ったりすることを目的として打ち出されました。中小企業が、労働時間等設定改善法に基づいて労働時間の適正化・職場の意識改善などを進めるなど業務管理の改善を行い、かつ、年休取得率60%以上または所定外労働を20%削減するなど一定レベル以上の数値目標を達成した場合、助成金が支給される予定です。
◆支給までの流れ
支給対象となるのは、2年間にわたり労働時間などの設定改善に積極的に取り組む意欲があり、しかも一定の成果が期待できる、常時使用する労働者数300人以下の中小企業です。
この助成金を受けたい企業は、まず、労働時間などの設定改善に向けた取組み計画を作成し、「事業主が講ずべき労働時間等の設定の改善のための措置」に基づき、労働時間等設定改善委員会の設置・開催と、取り組み方針などの内外への公表を行うことが必要です。その後、年度終了時に設定改善指標の確認を行い、向上していた場合には助成金が支給される予定です。
◆助成額
以下の額が支給される予定です。総支給額は、最大150万円となります。
1.1年度目終了後に、設定改善指標が少しでも向上した場合に50万円
2.2年度目終了後に、さらに同指標が向上した場合に50万円
3.2年度目終了時点で、一定の数値目標をクリアしている場合に50万円
]]>◆厚生労働省が方針決定
厚生労働省は、1日単位で日払いの仕事に派遣される「日雇い派遣労働者」「スポット派遣労働者」に対しても「日雇い雇用保険」を適用し、日雇い労働者向けの失業手当を支給する方針を固めました。
◆「日雇い雇用保険」とは
もともと「日雇い雇用保険」は、建設作業員など、日替わりで複数の事業所で直接雇用される日雇い労働者の失業対策として始まった制度です。
派遣会社に雇われる日雇い派遣労働者については、職場に直接雇用されるわけではないことから、「制度創設時に想定していない働き方」としてこれまで適用対象となっていませんでした。
◆日雇い派遣労働者の実態
いま、この日雇い派遣が、ワーキングプアの温床となっているといわれています。不安定な雇用実態のため、低収入からいつまでも抜け出せないのです。
日雇い派遣労働者の多くは、前日に携帯電話やメール等で仕事を予約し、直接派遣先に出向いて就労し、日給を手にしています。仕事は毎日保証されず、収入は不安定です。また、多くの仕事は日給が6,000円程度、1カ月フルに働いても月収は12~13万円程度にしかなりません。こうした人々が、現在、家賃が払えないためにインターネットカフェ等に寝泊りする「ネットカフェ難民」としてクローズアップされています。
今回の雇用保険の適用は、不安定な日雇い派遣労働者のセーフティーネットの役割を果たすことになると期待されています。
◆失業手当をもらうには
実際に手当が支給されるためには、1.複数の派遣会社に登録し、職場を転々として不安定な雇用状態にある、2.ハローワークで求職しているなどの条件を満たし、職業安定所で勤務実態が日雇い労働者並みに不安定であると認められる必要があります。受給月の直前2カ月間で、複数の派遣会社から派遣されて26日以上仕事をしていれば、仕事がない日に、勤務状況に応じて日額4,100~7,500円の失業手当を受け取ることができます。
◆今後の課題は?
雇用保険の適用が広がったことは、これまで不安定な雇用状況に置かれていた日雇い派遣労働者にとってよいことでしょう。しかし、このまま不安定な日雇い派遣労働者のままでいてよいのか、という問題は未解決です。
厚生労働省では、「安易な給付は不安定就労を定着させるおそれがある」として、失業認定の際には安定的な職業の紹介にも力を入れていく考えです。
]]>
◆内閣府が調査結果を発表
内閣府では、「男女共同参画社会に関する世論調査」を行い、その結果を発表しました。
この調査は、男女共同参画社会に関する国民の意識を把握して今後の施策の参考とすることを目的としたもので、男女の地位に関する意識、女性の社会進出に関する意識、家庭生活等に関する意識、男女共同参画社会の形成に関する意識、の4点について調査されています。
◆「夫は外、妻は家庭」反対が半数超える
今回の調査で特筆すべきは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」との考えに反対する人の割合が52.1%と、1992年の調査開始以来、初めて半数を超えたことです。もっとも、男性は賛成が51%、反対が46%と、いまだに古い考えを持っている人の割合が多いようですが、女性では賛成が40%、反対が57%となりました。「反対」と答えた人を世代別にみると、40代が59%で最高、最低は70歳以上の38%でした。
内閣府では、「男女の役割分担を固定的に考える傾向に変化がみられる」と分析しています。
◆しかし現実は…
それでは、実際に、妻が外で働きやすい環境は整いつつあるのでしょうか。
残念なことに、理想と現実は大きくかけ離れているようです。分野によっては男女の平等感は強まっているようですが、固定的な意識は依然として強いのが現実で、家事分担については食事の支度も後片付けも掃除も、実際の家庭では「妻の仕事」になっている率が非常に高いのです。
また、男女の仕事と家庭に対する考え方にも依然開きがあります。「仕事と家庭のどちらを優先するか」という調査項目では、「仕事を優先する」のは女性の17.3%であるのに対し、男性では40.2%。これも、「家庭を守るのは妻の仕事」という固定的な意識の現れでしょうか。
◆社会全体での男女の地位
もっとも、これは、家庭内の意識の問題にとどまらず、社会全体の問題ともいえます。
社会全体での男女の地位について、「男性が優遇されている」と答えた人は、「非常に」「どちらかと言えば」を合わせて73.2%、「女性が優遇されている」は4.2%にとどまりました。男性のほうが外で仕事をしやすい状況にあるのは明白なようです。
◆男性の家庭内への参加のために
女性が外で働きやすい環境をつくるためには、まず、男性が家庭内の仕事に積極的に参加することが必要です。そのためにはどのようなことが必要なのか、「夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること」を挙げた人の割合は60%にのぼります。
現実を理想に近づけていくために、まずは家庭に帰った後にゆっくり家族と会話をすることから始めてみてはいかがでしょうか。
]]>◆60歳以降の雇用確保実施企業は約98%
改正高年齢者雇用安定法の施行で60歳以降の雇用確保が事業主に義務付けられた2006年4月以降、約98%の企業で再雇用や定年の引上げなどの措置を講じていることが、労働政策研究・研修機構の調査でわかりました。高齢者の雇用確保は、改正高年齢者雇用安定法に基づく措置です。定年が65歳未満の企業は、年金の支給開始年齢の段階的引上げに合わせ、1.定年の引上げ、2.再雇用制度や勤務延長制度など継続雇用制度の導入、3.定年廃止のいずれかを選ばなくてはなりません。
◆「元管理職」の処遇に悩む企業
この調査は、2006年10月1日時点における制度の整備状況を各企業に聞いたものです。従業員300人以上の民間企業5,000社に質問票を送付し、1,105社から回答を得たそうです。調査結果では、定年後の再雇用制度を導入している企業が91.3%に上りました。勤務延長制度や定年の引上げなどを導入した企業と合わせると、98.4%の企業が、何らかの措置を講じていました。
継続雇用する対象者については、72.2%が「健康や働く意欲、勤務態度などで基準に適合する者」と条件付きで対象としており、「希望者全員」としている企業は24.6%にとどまりました。高年齢社員の処遇で困る点では「担当する仕事の確保が難しい」(39.6%)、「管理職経験者の扱いが難しい」(38.9%)、「継続雇用後の処遇の決定が難しい」(24.5%)、「高齢社員を活用するノウハウがない」(19.1%)などが上位を占めています。
同機構は、「制度はできあがったが、今後は再雇用した人の活用方法や、現役社員との関係、勤務形態を整備していく必要がある」と指摘しています。
]]>
◆退職が認められないのはなぜ?
好景気で企業の人手不足感が強まっていることにより、社員の引き留めが増加傾向にあるようですが、自分の評価が悪くなることを恐れた上司が、特に理由もないのに部下の退職を認めないというケースもあるようです。
◆意思表示後2週間で退職可能
民法627条1項は「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と規定しています。正社員のように雇用期間が特に決まっていない場合、原則として、退職の意思表示から2週間経過すれば、法的にはいつでも退職することができます。
◆退職の意思は口頭で伝えてもよい
退職願を受け取ってもらえない場合は、口頭でも構いません。ただし、後で「言った」「聞いていない」というトラブルを避けるためには、口頭で伝えた内容を文書にして内容証明郵便で送るのが確実です。
もっとも、多くの企業では就業規則で退職の手続きについて定めており、それに従うのが無難であることは言うまでもありません。法的には問題がなくても、労使双方に感情的なしこりを残してしまい、退職金の不払いや必要書類の出し渋りなどのトラブルにつながるケースがあるためです。
直属の上司と話して埒があかない場合は、役職者や人事部長に、直接、退職の意思を伝えるのも1つの手です。
◆雇用期間が決められている場合は注意が必要
労働契約によって雇用期間が決まっている場合は注意が必要です。最初から一定期間働く事を約束しているのですから、労働者側の勝手な都合で退職してしまった場合、会社側に損害賠償を求める権利が発生することもあります。
]]>